村井正塾頭からのメッセージ
世の中がグローバル化すると、取引は容易に国境を跨ぐ。そうなると日本のどこにいても、国際課税問題と無縁でなくなることになります。それにもかかわらず、国際課税事例も、日本の近代化以来徹底した東京一極集中主義をとってきました。なぜそうなったのでしょうか。プレイヤーである税務当局、納税者及び税理士の国際課税に対するスタンスが、東京以外では、いずれも及び腰なのです。当局は、これを東京へ振ろうとし、関西生まれの企業は本社機能を東京へ移し、税理士もこれを敬遠するという「三すくみ」状態が、関西の赤裸々な現状なのです。
国際租税の専門税理士が地元関西にいないから、納税者は東京に逃げるのか、それとも関西には国際課税事例が少ないから、その道の専門家が育たないのか、のどちらでしょうか。潜在的には国際課税の事例が関西でもありながら、税理士がこれを敬遠しているのが実情だと私は思います。いずれにせよ、その道の専門家がいないと話にならないことだけは確かです。国際課税の業務は、まぎれもなく税理士の職域です。一人一人の税理士の力ではできないことも、国際租税法のネットワークを組めば、国際租税の事例解決も可能となります。本塾の趣旨目的に賛同する同志が相集い、まず勉強会を始めることとしました。
「先ず隗より始めよ」というではありませんか。本塾の名称を国際課税一角塾としたのは、法の文字が、一角獣の神獣(unicorn, Einhorn)「かいち」に由来することに因んだものだからです。税理士としての強みを補強し、幅を持たせるような能力を身に付けようではありませんか。私もこれまでの経験を生かして微力を尽くしたいと思います。
村井 正